エストニア夢工房の小さな希望


日本にいる私達には知る由もありませんが、エストニアでニットセーターを編む仕事やハンドクラフトと呼ばれる手工芸作品等を個人的に作っている現地の多くの人々の暮らしは残念ながらあまり豊かとは言えません。長年続いてきたそんな現状の改善に少しでも役立つならとボク達エストニア夢工房ではボク(日本人)と現地に住むエストニア人スタッフと協力して、 あまり脚光を浴びずに実際に技術や伝統を守り陰で支えている多くを語らない現地の真面目な生産者の人々等が、大きな資本に搾取されず、自ら独立し発展していくお手伝いをし、 生産者や消費者両者にとって幸せな環境作りを目指しています、そして更には日本の人々がよりエストニアを理解し交流していくお手伝いが出来ればいいなと思っています。

ボク個人のエストニア人との初めて出会いは1992年の春にまでさかのぼります。出会った彼らは辛い時期を過ごしてきたにもかかわらず、 とても穏やかで、心優しく、感情豊かで、そんな彼らを見たボクは彼らと彼らの国にとても興味を持ったのを覚えています。 しかしその時に会った彼らは口々に当時のエストニア国内はまだまだ生活面で非常に厳しい部分があると話していました。

その時出合った女性の一人は内職でエストニアの伝統的なニットのセーター等を自宅で編む仕事をしていて 首都のタリンに度々足を運んでは買ってくれる所を探し交渉していたそうです。話を聞くとエストニアの主要都 市で手に入る伝統的な柄のセーター等の多くは、彼女のような内職の編み職人の人々(手工芸という事でクラフトマンと呼ばれたりもします) がハンドメイドで作ったものだそうです。

当時のそういった編み職人(ニッターと呼ぶ場合もあります)はものを作る技術を持っていても、 売る為の知識や環境、販路等が殆ど無い為に、仕方なくエストニア国内の今でもある首都タリンの城壁等でセーター等のニット製品を路上で販売している ブローカーや組合、小売店等の流通業者へ割安で卸したり、運が良ければ職人として賃金の高いノルウェー等の北欧へ出稼ぎに行ける場合もあると話していました。根本的な状況は今もそれ程変わっていません。

仕入れた業者はもちろんそれらのニット製品に彼らの利益を乗せて観光客等をメインに販売しているという訳です。 ニット製品を個人的に編む編み職人の仕事は製品によっては編み柄を編む時に手動等の機械も使いますが、編み上がった生地を一つ一つ手で丁寧に繋げる等ハンドメイドな部分が多い結構手間の掛かる仕事の割に、こうした国内外の流通業者を通している為いっこうに収入が増えないので、 本当に残念なのですが、技術があり品質のいいものを作っていたにもかかわらず、 その数年後に彼女はエストニア伝統のニット製品にを編む編み職人としての仕事を廃業しました。

たとえいいものを作っていたとしても、販売する選択肢があまり無い為に多くの個人の職人や生産者達はそれを受け入れ副業的に生産するか、 廃業するしかなかったのです。そして良い仕事をする職人にとって受け入れがたいのは、 良いニット製品とそうでもないニット製品がそれ程価格に差が無く国内外で販売されていて、販売する多くの小売業者はそれらを区別していませんし、多くの人々がそれを知らないという事です。

単純に金儲けとして商売している多くの業者にとっては仕入れたニット製品は単に利益を得る為だけの道具にすぎないので作る時に愛情がこもっていようがいまいが、品質が良かろうが悪かろうが売れているのであればあまり関係の無い事なのです。そしてあまり事情を知らない観光客等が商売相手のメインですから現状が変わりづらいと言えるかもしれません。 幸いこの友人の女性はまだ若かったので、全く別の仕事を見つけて今は頑張っていますが、エストニア国内のハンドメイド製品のニットの手編み職人は実は年配の女性がとても多いのです。

年配の人々にとっては職人に限らず、今まで培ってきた技術を捨て、全く新しい事を始めたり、仕事を探すのは大変困難です。 独立後にハイパーインフレを経験し、最近は多少は落ち着いたものの今だに高いインフレ率のエストニアでは年金だけで暮らしていくのは都市部ではかなり大変ですし、 彼女らニット編み職人等にとってはエストニアの伝統的なニット製品を編む以外、そしてその他の職人にとってもに他の選択肢は殆ど無いのが現状です。そして一部に富が集中する貧富の差はどんどん広がるばかりです。

ニット製品に関して言えばエストニアのニットは最近は北欧製?と言う事でそのブランドイメージで一部で人気が出てきていますが、多くの場合まだまだ供給が需要を上回っているようで、 買い手市場になってしまっています。ボク自身この話をはじめて会った時に聞いて、その後実際にそれらを見て、 日本では余り知られていない、この隠れた伝統的手工芸品の代表的な存在のエストニアのニット製品をぜひ多くの日本の人に手にとって見て欲しいですし、 なんとも言えない味わいを知ってもらいたいと考えて、何とか出来ないだろうかと長い間考えていました。

ボク達は当初、通常のお店のように輸入してからの販売を考えていたのですが、それではボク達の主観で製品を選んでしまう為、 どうしても不良在庫が発生する率が高いですし、人件費や運営に何かと経費が掛かる日本で販売すると、 その分販売価格を上げざるを得ず、どうしたものかなーと思っている時に偶然見つけた、インターネットで物を売る本を見て目からうろこでした。

全くインターネットの事が頭に無かったボクは(当時PCに触った事もありませんでした)とても理想的な環境でした。 その後様々な本や雑誌を見て勉強しこのページなどを公開にこぎつけた訳です。確かに店舗を構えて販売すれば直に見てもらえますし、良い部分もあります。

でも多くの人々が住む地域に限定されず外国から直接個人で輸入するという又一味違った魅力や楽しさも味わって欲しいという事もあり日本に実店舗を構えない現地から直接発送出来るインターネットでの受注のみに絞りました。

そしてこの個人輸入代行受注サービスで得た利益はボクが考えているこれからのエストニアと日本との間の交流活動資金に充てて行きたいと考えています。 ボク個人としてはお世話になった人々が住むエストニアへの恩返しという気持ちも強いです。

真面目な生産者や職人の現状を変え、利益は一番先に苦労されている生産者等に行く様にして独立や生活の糧を十分得られるようなお手伝いをし、 消費者にとっては安く、生産者にとっては高く販売できるエストニア共和国に特化したこの直接生産者等から買える仕組みを広めていき、 裏表が無いオープンなシステムにしたいと考えています。そしてエストニアの国やエストニア人、 エストニアの文化等に興味を持って頂き、エストニアに訪れてくれると嬉しいです。





エストニア現地でご協力頂いているカトリンさん



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